【完全ネタバレ】07/17(月)ももいろクローバーZ 15th Anniversary Tour 「QUEEN OF STAGE」@日本特殊陶業市民会館フォレストホール

 

まえがき

 

2023年7月17日、月曜日の21時30分過ぎ。
愛知県、名古屋市

気温37度(当初の予報では39度)と、今年いちばんの酷暑の日は、すっかり暗くなったこの時間でも、まだまだ外の空気が熱かった。そんな名古屋の夜、たったいま観たばかりのライブのことで頭がいっぱいな自分は、こうツイートしていた。

ももいろクローバーZ、通称ももクロ。今年2023年で結成15周年を迎え、16年目に突入した現在もライブシーンの第一線で活躍中の4人組アイドルグループ。
その彼女たちの最新ツアー「QUEEN OF STAGE」の2日目、日本特殊陶業市民会館フォレストホールで観た公演は、本当にすごかった。

ただ、前日――ツアー初日の神戸公演のMCで、ももクロと観客とのやり取りの結果、ツアーの内容は(いまのところ)ネタバレ禁止、ということになっていた。

 

……これを、このライブのことを、3か月先のツアーファイナル、10月15日まで黙っていろ、あるいは固有名詞を出さずに語れと?
いやいやいや、無理無理無理。

 

だから、ここに、個人のブログに書くことにした。

これから、セットリストも、演出も、衣裳についても全部伏せずに書きます。自分の主観も解釈もつけ加えて語ります。記憶を頼りに書くので、間違いもあるでしょう。


もし、これから15周年ツアーを観る予定で、そういうことはいっさい知りたくないという人はここで引き返してください。とにかく最高、このことだけは保証します。このあとを読むかどうかは、完全に自己責任でお願いします。

いいですね?

いいですね?

 

 

 

……あ、そうそう、8月5日(土)6日(日)東京公演の一般二次抽選は7月23日(日)23:59が〆切です。まだチケットがない人は、この記事を読まずに申し込んでしまうのもひとつの手ですよ。

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では、どうぞ。以下、完全ネタバレでお送りします。

 

 

 

 

目次

 

 

ライブ概要

公演名:MOMOIRO CLOVER Z 15th Anniversary Tour 「QUEEN OF STAGE」

公演日:2023年7月17日(月・祝)

会場:日本特殊陶業市民会館フォレストホール

公演時間:約150分(19:00開演/21:30終演)

出演:ももいろクローバーZ百田夏菜子玉井詩織佐々木彩夏高城れに)、バックダンサー(5人? すべて女性)

 

セットリスト

まずは何をおいても、セットリストを共有したい。このセトリを見て、すごさの一端を感じてほしい。

オープニング
01 走れ! -ZZ ver.-
02 DNA狂詩曲
03 PUSH
04 笑一笑 〜シャオイーシャオ!〜
MC
05 Another World/玉井詩織
06 じゃないほう/高城れに
07 バイバイでさようなら
08 Guns N' Diamond
09 PLAY!
10 ゴリラパンチ
11 Nightmare Before Catharsis
MC
12 Re:volution
MC:自己紹介
13 HAND
14 リバイバル
15 あーりん三部作メドレー/佐々木彩夏
 (だってあーりん なんだもーん☆
 →あーりんは反抗期!
 →あーりんはあーりん♡)
16 赤い幻夜百田夏菜子
17 天国のでたらめ
18 GOUNN
19 MONONOFU NIPPON
MC
20 15周年スペシャルメドレー
 (2023:いちごいちえ
 →2009:ももいろパンチ
 →2010:ピンキージョーンズ
 →2011:Z伝説 〜終わりなき革命〜
 →2012:サラバ、愛しき悲しみたちよ
 →2013:灰とダイヤモンド
 →2014:MOON PRIDE
 →2015:夢の浮世に咲いてみな
 →2016:ザ・ゴールデン・ヒストリー
 →2017:BLAST!
 →2018:クローバーとダイヤモンド
 →2019:The Diamond Four
 →2021:月色Chainon
 →2022:一味同心
 →2023:いちごいちえ)
MC
21 行くぜっ!怪盗少女 -ZZ ver.-
【アンコール】
ー overture 〜ももいろクローバーZ参上!!~
22 DECORATION
MC
23 吼えろ
MC

 

ねっ? 以下、順を追って語ります。

 

ライブ内容

オープニング

今回観たのは二階席のやや上手寄り、ステージ全体が一望できる席。開演前のステージ上には床から天井まで伸びる縦長の超巨大LEDモニターが二枚置かれており、そこに映像が流れていた。開演は予定時刻の19:00ぴったり、遅れてもせいぜい1、2分ほどで始まったと思う。LEDモニターがオープニング映像を映し出す。まず、ちょっと西洋絵画っぽいけど人物はややマンガ風の絵が現れ、それが次々に変わっていく。

――これ、画像生成AIを利用した映像だ!

話題の最新技術を活用していることにまず驚いた。先行例はあるかもだけど、自分がライブで使っているところを見たのは初めてだった。その後画像は切り替わり、メンバーの顔が大写しになる。4人ひとりずつ、過去のアー写から最新のものへと流れるように変わっていき、名前が書かれていく。そしてモニターは巨大な扉と化し……ゆっくりと左右に開いていく。

そこにあったのは階段。そしてその上に立つ4つのシルエット。

黒い!

今回のキービジュアルが白を基調としたものだったに対し、現れたももクロの4人は全身黒のドレス姿、いや正確にはドレス風の衣裳だけど、その高貴さたるや、ドレス以外の何ものでもない。

百田夏菜子。はい、ビジュアル天才。

玉井詩織(ショートカット!)。おお、ビジュアル最高。

佐々木彩夏。うん、ビジュアルが究極。

高城れに。ねえ、ビジュアルが極上。

おのおのデザインの異なる黒いドレスをまとって、そこに立つ4人は、まぎれもなく「女王」だった。ひとりひとりが一騎当千、ひとりひとりが才能の塊で、ひとりひとりが忠誠を誓う多くの強者(モノノフ)を心服させている。そのことが一瞬で理解できる。まだ歌うどころか動いてすらいないのに。

そして階段をゆっくり降りはじめる4人。

ステージに立ち、おもむろに歌いだしたのは……まったく知らない歌詞とメロディの曲だった。え、何これ新曲? 混乱しつつも4人の歌声にさっそく癒やされていると、やがておなじみの、自分がももクロ現場でいちばん多く聴いてきた、あの曲のフレーズが耳に飛びこんでくる。

 

01 走れ! -ZZ ver.-

15周年ツアー、はじまりの曲は「走れ!」。いわずと知れた大名曲だ。ももクロにとっても、モノノフにとってもたくさんの思い出があるこの曲を、見たことのない美しさをまとった4人が、黒いドレスを優美に揺らしながら、心をこめて歌っていく。今回は声出しOKのツアー。当然そこに客席からおなじみのコールがのっかっていく。あー、れにちゃん! かなこぉー! しおりん! あーりんわっしょい! 至高の夏菜子ソロパートでウィンクを眼に焼きつけ、最後の暗転でペンライトを振りながら一緒に歌う。かつては当たり前だったコール、お決まりの動きをできることのありがたみを噛みしめる。


02 DNA狂詩曲

イントロで場内から歓声があがる。ZZ verではなかったと思うけど、そこはちょっと自信ない。ともあれ、初披露の横浜アリーナから11年経っても、不動の人気を誇るライブチューンだ。ドレス風衣裳でもしっかり4人は踊ってくれる。会場のテンションがどんどん上がっていく。女王の鼓舞に、2曲目にして会場がほぼ一体となった。たしかこの時点で降りてきた階段が(人力で)動くことが判明したんじゃないかな。セットも凝ってるな、と思った記憶がある。全編見どころ満載ですが、あの、ガクガクって動いて止まる最後の振付いいですよね。あそこがいつ観ても気持ちいい。


03 PUSH

さらに大きな歓声、ところによっては悲鳴があちこちから聞こえる。ファン人気に比して4人になって以降いわゆる干され曲となっていたPUSH、ファンクラブの人気投票で上位になりながら昨年の夏のバカ騒ぎでは一日目しかやらなかった曲が、2000人クラスのホールで聴けるうれしさが爆発する。振付の楽しい曲だから、踊る踊る。汗が止まらない。楽しい。バックダンサーが登場したのはこの曲だっけ、次だっけ?

 

04 笑一笑 〜シャオイーシャオ!〜

出ました、超大好きな曲。twitterでは何度も書いているけど、4人体制初のシングル表題曲がこれで本当に良かったと心底思う名曲。明るくて、楽しくて、元気がもらえて、だからこそ泣けてきちゃう。節目のツアーに選曲されたことがうれしくてたまらなかった。当然、全力で振りコピしました。

 

ここまでの4曲は、いずれもライブ人気の高い曲であり、それなのにアルバムには未収録という共通点のある曲でした。ももクロの原点であるライブパフォーマンスをまず魅せようという意図だろうか。深読みすれば、4曲それぞれが過去の大箱ライブを象徴する曲、ということで選ばれたのかもしれない。DNAは2012年の横浜アリーナ2days、PUSHは初ドームだったバカ騒ぎツアーファイナル西武ドーム、笑一笑は10周年の東京ドーム。走れ!はいろいろ考えられるけど、順番からすると初ホールワンマンの日本青年館かな。


MC

ここで最初のMC。このツアーオリジナルの自己紹介がありました。まだ誕生日の数日後だからという理由で夏菜子にハッピーバースデー歌えたのがうれしかった。15周年ということでいろんなももクロを見せるよー的なことを言っていた気がする(あやふや)。


05 Another World/玉井詩織

ツアーでソロ曲やるとか聞いてない! モニターには80年代風のアニメ映像が映るなか、ダンサーふたりを従えて階段で歌う玉井さんの大人っぽさを堪能。ショートカットになったのは前日の神戸公演のツイートが流れてきたのを読んで知ってたんですが、そりゃあ素敵でしたね……。


06 じゃないほう/高城れに

続いてはれにちゃんソロ曲。あ、このツアー全員ソロやるんだな、とここで悟った。ひょっとするとここのブロックは公演によっては曲が変わるかもしれませんね。なんだかんだ4人ともソロ曲のストック増えてるから。れにちゃんは4人のなかでいちばん、歌詞を自分に引き寄せて歌うのが得意だと思っていて、そんな彼女の優しい歌声が染み入る。


07 バイバイでさようなら

今回のツアー最大のサプライズ選曲。ちょっと声出た。DOME TREKツアー以降やってないんじゃないっけ? 自分が最後に聴いたのはそう。7年ぶりかよ……。ももクロは歌唱に徹し、ダンスはダンサーという分業制のパフォーマンスも秀逸でした。四分割された階段ステージがくるっと180度回転し、裏側の空間に置かれた椅子に腰かけて歌うさまが絵になること!


08 Guns N' Diamond

この2曲が代表するものはライブとしては「ドームツアー」、コンセプトとしては「アルバム再現」でしょう。アルバム2枚を同時発売してドーム2daysで一枚ずつアルバムを再現する、というのは改めてとんでもない試みだったな、と。ももクロは熱いアスリートであるだけじゃない、きわめてすぐれた表現者でもあるのだ、という事実を、我々はアルバム再現ライブのたびに強く実感させられてきました。Gunsだけでいえばもうひとつ別の意味合いがあるかもしれませんが、これは後述します。


09 PLAY!

これはずばり「配信ライブ」の象徴として選出されたであろう一曲。コロナ禍においてもできることをやろう、と試行錯誤した結果の配信ライブは、いっとき世間の不安を忘れさせてくれる存在であり、4人や運営にとっても糧となったはずです。カラフルな傘を使った演出はこの曲だっけ? あーりんのアイディアっぽいよね。メンバーカラーの傘をさす4人と、それとは別の5色を使うバックダンサーの合計9人によるダンスが愉快な一曲でした。


10 ゴリラパンチ

とにかくウホウホ、バカになれるライブ人気曲。楽しいよね。この曲がツアーの一曲にはいった意味を見いだすとしたら、「体制の変化」でしょうか。10周年の桃響導夢、あーりんのパフォーマンスに度肝を抜かれ、4人になった変化を前向きに受け入れられた印象はいまだ鮮烈です。でもここだけの話、現在の振付は動きが複雑になったぶん、振りコピの楽しさは減少しちゃったんだよなー。


11 Nightmare Before Catharsis

ザ・大箱曲というイメージが強い。ステージセットの豪華さといい、ここまでの選曲といい、ツアーのコンセプト設計はホールではなく、最もキャパの大きい武蔵野の森総合スポーツプラザアリーナを基準に想定されているのかなと思いました。アリーナ最後方で観ても絶対楽しめるし、なんなら全体の演出を把握できるのはむしろ後ろのほうだと思う。あとツアータイトルであるQUEENにロックバンドのほうをひっかけた小ネタなのかな、たぶん違うかな播磨かな。

 

12 Re:volution

ここで休憩兼ねたMC。新曲やります!という宣言でMONONOFU NIPPONか?と思ったら今年のマー君登場曲のこっちでした。BLUE ENCOUNTは後輩グループのチームしゃちほこ(現TEAM SHACHI)に「START」という良曲を提供してますが、こちらもSTARTと同じく、熱いロックチューンでした。このあと21日0:00の配信リリースが楽しみ。ソロをはさんでここまでの5曲は「大箱ライブ」に似つかわしい曲、というのが共通項ですかね。

 

MC:自己紹介

ここでもう一度自己紹介。今度はいつもやってるやつです。やっぱりワンマンでは正規バージョンの自己紹介を一緒にやりたいよね。そのあと、ふたりずつ交代で袖に引っこんでしばしの休憩。まずはももたまいがハケて彩高コンビが残る。ここでファミリー席にいるチビノフとのやり取りを楽しみまくるふたり。声援や「かわいい」の大合唱をもらって、ひたすらデレデレあまあまになってるのが微笑ましい。

 

あーりん「カワイイ……やーん、食べちゃいたい」
れにちゃん「ねー、連れて帰りたい……」
前言撤回。アイドルが犯罪臭しかしない発言するのやめろwww

 

ももたまいが戻ってきたら今度は彩高がひっこむ。ももたまいは主に気温の話。しおりんがあまりの暑さにかき氷を食べにいったとか、そういう話。やがて4人がステージ上にそろって、ライブ再開。


13 HAND

最新アルバムからミディアムテンポなラップチューン。地味だけど好きなんですよこの曲。再び階段ステージに登ってのパフォーマンスだったけど、びっくりしたのはスポットライトに当たってできた影だと思っていたものが、途中から歌う4人とは別の動きをしだして、投射された映像だと判明した瞬間。一本取られました。シルエットの映像はおそらく本人たちが事前収録したもので、これならせまい階段ステージ上で歌に専念できるし、いっぽう動きも見せられるなと感心しました。


14 リバイバル

今回の歌唱面での白眉。HAND終わって階段から降り、スタンドマイク(実際にはマイクはお飾りでヘッドセットだった?)で歌うのが超クール。何がすごいって、ハモりの厚みがこれまでとは段違い。ユニゾンも相変わらずお見事だし、16年目にしてまだ歌が成長しつづけているってとんでもないことですよ……。この一曲だけをとってもツアー観る価値があると思う。


15 あーりん三部作メドレー/佐々木彩夏

あーりんはソロ曲どれ歌うんだろう、と思ったら、冒頭からリミックスだとわかる音源での、あーりん三部作(だってあーりん なんだもーん☆→あーりんは反抗期!→あーりんはあーりん♡)という胸焼けしそうなこってり具合できた。ここでメドレーというのはあとの展開の前フリを兼ねた周到な計算かもしれないし、ただ単に目立ちたかっただけかもしれない。とにかくあーりんに完敗。


16 赤い幻夜百田夏菜子

ソロのトリとなる夏菜子は主演映画『すくってごらん』の主題歌でした。ここで階段ステージから登場したとき、黒いドレスから全身白の衣裳になっていてまず衝撃。幻想的かつエレガントな雰囲気はくずしていなかったものの、踏みはずさないよう、歌いながらちらちら足元をうかがいつつ一段一段おりていくのは正直かわいかったですね。LEDモニターで金魚をイメージしたであろう赤い模様が動いていて、それがたまに反射して夏菜子の衣裳も赤く染まるのがほどよいアクセントでした。


17 天国のでたらめ

夏菜子が全身白い衣裳だったのでもしかして……と思ったら、残り3人もやはり白い衣裳にお着替えしてきて、そこで鳴ったイントロに一瞬で胸がふさがれる。ええ、ミュージカル「ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?」を観たことがある者にとっては、ただの神曲です。あれから5年を経てさらに研ぎ澄まされた歌声がいっそう心をゆさぶってくる。曲の後半になると、モニターに4人の横顔が大写しになるのですが、あれは前世なのかそれとも来世なのか。スモークもふんだんに焚かれ、まさにあの舞台を彷彿とさせる演出でした。


18 GOUNN

これも超超大好きな一曲。イントロでダンサーが現れ、4人の白い衣裳に手をかけると……その下からメンバーカラーの三着目の新衣裳が! この早着替え、ももクロ一座のときにも観たやつ! たしかにちょっとばかりもこもこしてるなとは思ったけど! このメンバーカラー新衣裳はスカジャンっぽい生地を用いた和服っぽい仕立てで、こちらもたいへん好みです。GOUNN以前/以降に分けられるくらい、ディスコグラフィー上重要な楽曲だと思っているので、記念すべき15周年ツアーで聴けてご満悦、法悦至極。そのうえ真におそるべきは、扇子を使ったこのツアー限定(たぶん)の振付をイチから起こしてることですよね……。

「赤い幻夜」から3曲の流れは、ももクロ「ライブ以外の作品」――映画、ミュージカル、舞台といった――をイメージさせるもの。ライブ最強なのは言うまでもないですが、こうした異分野でもしっかりと実績を残しているのだと、改めてうならされました。


19 MONONOFU NIPPON

そして今ツアー2曲目の新曲、ももクロ×ヒャダイン×布袋寅泰という周年にふさわしい豪華布陣の超攻撃的アッパーチューンがここでお目見え。ニッポンポポンポポンポニッポン! ダンスもハードなら曲もひたすら速くて展開がめまぐるしい。でもキャッチーなのですぐ振りコピ順応できました。というかシンプルにめっちゃ好き前山田健一ワークスの中でも相当上位に食いこみますよ。この夏、ツアー以外のフェスや対バンでもヘビーローテーションになること確実なので、中毒者続出となることでしょう。ニッポンポポンポポンポニッポン!

 

20 15周年スペシャルメドレー

ここでMC。MONONOFU NIPPONについてひとしきり語ったあと、15周年の記念に作った曲を歌います、という落ち着いた口ぶりでの曲振りに、となると「いちごいちえ」か「ヒカリミチ」かの二択、どっちでもウェルカムよと待っていたら、前者の前奏が流れてくる。そして歌が始まり、後方のモニターには2008/05/17――ももいろクローバー結成日の日付が映し出され、ゆっくりとカウントアップしていく。……が、途中でカウントが止まり、曲もストップ。んん?と不審がっていたら、日付がどんどん巻き戻っていく。そして止まったのは2009年、ステージの4人がいつのまにか懐かしいあのフォーメーションを取り、鼓の音が鳴り響く。インディーズデビュー曲「ももいろパンチ」だ! 続いて映像は2010年のこれも見慣れたMVに。わ、「ピンキージョーンズ」だ! そう、これはメドレー。それも、ももクロが発表してきた多士済々百花繚乱の楽曲から、1年につき1曲を厳選した、15周年記念の超スペシャルメドレーだった!!

 

あとはもう、一年ごとに何が選ばれるのかという期待と、曲がきたときの興奮が交互にくり返される、ジェットコースターのような、満漢全席のような、幸せの波状攻撃でした。PJの直後、2011年代表は「Z伝説~終わりなき革命~」ですよ? 「ファンファーレは止まらない」発表後、二度とライブでやらないと思っていた曲がショートサイズとはいえ聞けた喜びがこれを書いているいまもまた襲ってきています。全体的に自分の好みとかなり近いセレクトだったのもすばらしかった(2020年代表がないのはこの年リリースの楽曲がすでに歌われているPLAY!だけだからですね)。これ、全モノノフに聞いてまわりたい。1年1曲というしばりで、あなたならどの曲を選びますか?

 

そして2022年代表「一味同心」のあと、曲はまた「いちごいちえ」に。モニターも再びはシンプルに日付だけの画面となり、そして、2023/05/17――結成15周年当日がやってくる。そのタイミングで曲はあのひと言を叫ぶパートにさしかかり、4人が前に、客席に向かってマイクを差し出し、会場全体が声を張り上げる。「きやがるんだな!」。すばらしいのはカウントがそこで終わるのではなく、7月17日――公演当日の日付を超え、2024年まで続いていったこと。現状では2024年4月に春の一大事開催がアナウンスされていますが、その先もまだまだももクロは続いていくのだということを示してくれる、心強い演出でした。

 

このメドレーで想起したのは、ももクロ史上に残る国立競技場でのライブ。あのときのももパンからGOUNNまで、シングル13曲の表題曲を順番に披露するという構成に、今回の1年1曲選抜メドレーは近しいものを感じます。いずれも楽曲でたどる、ももクロヒストリー。そして見聞きする観客にとっては、モノノフヒストリーでもあるという。この楽しい走馬灯は、このあともう一度、少し形を変えて上映されます。

 

ところで、このメドレーでは「灰とダイヤモンド」「クローバーとダイヤモンド」「The Diamond Four」がそれぞれ年次を代表する曲として選ばれ、前半ではGuns N' Daiamondが披露されていました。ダイヤモンドを曲名に冠する4曲すべてが一回のライブで披露されたのは今回が初(のはず)。これすなわちTeam Diamond Four……TDFをこれ以上ない形でライブに溶けこませてくれていたんだな、と、これはその夜ホテルに帰っての反芻時に気づいたことです。


21 行くぜっ!怪盗少女 -ZZ ver.-

そして、MCで「これが最後の曲です、わたしたちがいちばん多く歌ってきた曲です」と言われたからには、そりゃもう怪盗少女以外ありえない。15周年ツアーをしめくくるのは、代名詞中の代名詞に決まってます。コールも、振りコピも、もちろん全力で。ああ、背後のモニターでは、これまでの主だったライブの映像が日付とともに次々と流れてくる。ずるいだろそれは……ああ、あのライブもこのライブも行ったな、思い出があるな……でも待て! いまはステージで歌い踊る4人を観なければ! と視界がめちゃくちゃ忙しかった。えびぞりジャンプこそありませんでしたが(無理はしなくていいので正解)、最高の本編の終わり方だった。なお、本編終了時点で21:00はとっくに回ってました。終演予定時刻とは……。


アンコール: overture 〜ももいろクローバーZ参上!!~

ホワイトベレーを持参しなかったので撮影はせず。コールしながら撮影できるほど器用じゃないしね……。これがないとももクロのライブ来た気がしない、という御仁も多いことでしょう。自分もそのひとりです。なんなんでしょうね、あの高揚感。何十回、何百回聞いていても、わくわくしてしまう。


22 DECORATION

アンコールのタイミングでこんな体力を消耗する曲を! と思ったらダンスは必要最小限だった。ですよねー。無理されても困るのでOKよ。その分こちらが動くのが礼儀と心得て、残る力をかき集めて踊る。というのは半分以上言い訳で、訓練されているから勝手に身体が動くんですよね。ラスサビはももクロちゃんたちもしっかり踊ってくれたので全力で合わせにいく。


23 吼えろ

正真正銘、これが本当に最後の一曲。何を持ってくるだろう、と構えていたら、選ばれたのは「吼えろ」でした。人気曲だし、これは納得。声出し解禁となった4月のMrs. GREEN APPLEとの対バンの一曲目もこの曲でしたよね。〆にふさわしくもあり、これから先の未来を予感させもする曲。23曲歌ってなお冴えわたる夏菜子のロングトーン、小気味よい振付、前向きなメッセージ……晴れやかな気分です。

 

まとめ

超楽しかった。集大成にして最新形。「観たかったももクロ」と、「観たことのないももクロ」を両方、存分に味わえた。

 

今回のツアーのコンセプトは実に単純明快で、ももクロの15年」。これは誰が見てもわかると思う。ただ、「ももクロ」の「15年」をここまで丁寧に解きほぐして、細心にエッセンスを拾いあげ、再構成している、その完成度の高さに圧倒されました。いつファンになった人が観ても楽しいライブです。

 

ももクリ2022で松崎しげるからこのツアーは「メンバーセルフプロデュース」だと告げられたときから、それって実質的には佐々木彩夏プロデュースのももクロが観られるってことだよね、と待ち望んでいたので、その点でも期待を裏切られないツアーでした。ソロコン行ってる人ならわかると思うけど、あーりんってストーリーに沿って既存の楽曲を(ときにアレンジして)当てはめてかっちりしたライブ構成するの好きだし、得意じゃないですか。実際に観てみたら、映像とパフォーマンスの融合のさせ方、バックダンサーの起用、小道具の多用など、いかにもあーりん好みだよねという演出が多々あって大満足。動くモニターのあいだをダンサーとすり抜けたり、わりと大胆に曲中でも移動してメンバー全員がステージからいなくなる瞬間があったりしたのも、仲間に全幅の信頼を寄せている彼女ならではだよなと。

 

ただそんなこんなで凝りまくった結果、休憩時間も最小限、4人にとっては間違いなく過去イチ体力的にハードな内容の公演になっていて、それなのに150分ずっと、キラキラの笑顔でステージに立ってるんですよ……ももいろクローバーZ、最高のアイドルです。

 

この記事書いている段階では初日の神戸公演の詳細を把握していないのですが、たぶん内容は同じなんじゃないかな。各メンバーがプロデュースする公演が散らばってあるのではなく、4人が一緒に考えて練りあげたのが今回のツアーだと思います。変わるとしたら楽曲単位での入れ替えなのでは。ソロ曲のところとかね。

 

そのことを踏まえてあえて夢想するなら、全曲完全に順番を逆にする、という可能性はあるかもしれない。吼えろから始まって、序盤で15周年メドレーをぶちかまし、笑一笑で本編終了。アンコールoverture明けPUSHで意表を突いてDNAでたたみかけ、走れ!で大団円。……ほら、むちゃくちゃありそうじゃないですか?

 

あれこれぶちまけてきましたが、ホントももクロのことが少しでも好きなら、ぜひ観てほしいライブです。ダメ押ししておきますが、現在、東京公演の一般二次抽選が実施中です(23日23:59まで)。申し込むならいまですよ。

 

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